「契約前に『重要事項説明』を受けることになったけれど、何をするの?」
気に入ったマンションが見つかり、購入申込も済ませた。
いよいよ売買契約というところで、不動産屋さんから「契約前に、重要事項説明を行います」と案内された。
事前に届いた「重要事項説明書」を開いてみると、登記や管理規約、契約解除など、見慣れない言葉が並んでいる。
部屋や眺望は内見で確かめたし、購入価格にも納得している。
でも、
この書類では何を見て、説明を受けるときには何を確かめればいいのでしょうか。
- 「重要事項説明と売買契約は、何が違う?」
- 「管理費や修繕積立金、マンションのルールも説明してもらえる?」
- 「分からないことが残ったら、契約前にどうすればいい?」
購入したい気持ちは決まっていても、分からないことを残したまま契約するのは気になりますよね。
そこで、
この記事では、マンション購入の重要事項説明とは何か、説明書のどこを見て、何を質問すればいいのかを整理しながら、売買契約前に確かめたいことを一緒に考えていきましょう。
🎯 マンション購入の重要事項説明とは?

マンション購入の重要事項説明は、売買契約前に、宅地建物取引士から物件や取引条件の説明を受け、「この条件で購入してよいか」を判断するための手続きです。マンションのルールや支払うお金、契約を解除できる条件などに分からないことがあれば、契約前に担当者へ質問し、内容を理解したうえで購入するかどうかを判断しましょう。
📄 重要事項説明を受ける前に、資料と質問を準備する
📑 重要事項説明書と売買契約書の案を事前にもらう
書類を読んでいて、「これってどういう意味だろう?」と思ったとき、その場ですぐに質問できるとは限りませんよね。
少し読み返して、聞きたいことを考える時間もほしいところです。
そのため、
重要事項説明書と売買契約書の案は、不動産屋さんにお願いして事前にもらい、当日は事前の案からの変更の有無と内容を確かめてから契約へ進みましょう。
重要事項説明は、売買契約を結ぶ前に行われます。説明を行う宅地建物取引士には、宅地建物取引士証を提示する義務があります。説明当日は、交付された重要事項説明書を見ながら、内容を一つずつ確認していきます。
参考:国土交通省「重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びITを活用した重要事項説明 実施マニュアル」
💬 自分の希望や、これまで聞いていた条件を質問にする
書類を読んでも、「何を聞けばいいの?」と迷うことはありませんか。
そんなときは、
購入後にしたいことや、担当者から聞いていた説明を思い出してください。
| 自分の希望・聞いていた説明 | 質問したいこと |
|---|---|
| 購入後に床を張り替えたい | 「使える床材や、工事前の申請に決まりはありますか?」 |
| 駐車場を利用したい | 「売主さんが使っている区画を引き継げますか?別に申込が必要ですか?」 |
| 毎月の管理費・修繕積立金を聞いている | 「金額は聞いていたとおりですか?値上げが決まっていますか?」 |
| 住宅ローンを利用して購入する | 「ローンが承認されなかった場合、どの条件で、いつまでなら契約を解除できますか?」 |
自分の希望がかなうか、聞いていた条件と違いがないかを考え、質問したいことをメモしておくとよいですね。回答を聞いたら、「どの資料の、どこに書かれていますか?」と、書類でも確かめてみてください。
🏢 マンションの重要事項説明で確認したいポイント
📑 登記上の権利と、抵当権の扱い
重要事項説明書に「抵当権」と書かれていると、「このマンションを買って大丈夫?」と気になるかもしれません。
抵当権は、住宅ローンなどを返せなくなった場合に、金融機関がその不動産からお金を回収するための権利です。売主さんのローンが残っていれば、登記されていることがあります。
抵当権が登記されていても、それだけで購入を見送る必要はありません。売主さんがいつローンを返済し、抵当権を抹消するのかを確かめたいですね。
- 登記上の所有者は誰か
- 抵当権など、所有権以外の権利が登記されているか
- 抵当権がある場合、いつ、どのように抹消する予定か
売主さんがローンを返済し、抵当権を抹消して引き渡す取り決めになっているかを説明してもらい、売買契約書の条件とも照らし合わせてください。
🏠 敷地の権利と、専有部分・共用部分
購入するマンションの土地は、所有権でしょうか。それとも借地権でしょうか。
敷地が借地権なら、地代や契約期間なども購入後の負担や将来の予定に関わります。
また、窓や玄関扉、バルコニーなどは、共用部分に当たるのが一般的です。自分の住戸に付いていても、自由に変更できるとは限りません。
| 確認する項目 | 確かめたいこと |
|---|---|
| 敷地の権利 | 所有権か借地権か。借地権なら地代・契約期間など |
| 専有部分・共用部分 | 自分が所有する範囲と、変更に制限がある部分 |
| 専用使用権 | バルコニーなど、自分が使える部分の条件や使用料 |
| 法令上の制限 | このマンションの利用などに、具体的にどのような制限があるか |
工事を考えている箇所があれば、自分の判断で変更できる部分か、管理規約ではどう定められているかを聞いてみてください。
🐾 管理規約と、希望する使い方
「ペット可」なら、飼いたい犬の大きさでも大丈夫?「リフォーム可」なら、使いたい床材を選べる?
ペットの大きさや頭数、床材の遮音性能など、具体的な条件が決められている場合があります。専有部分の使い方に関する規約上の制限は重要事項説明で扱われますが、細かな条件は管理規約や使用細則でも確かめます。
例えば、自分が利用したいものについて、次のようなことが気になりませんか。
- ペット: 飼いたい種類・大きさ・頭数で飼育できるか
- リフォーム: 希望する工事ができるか。申請や承認は必要か
- 駐車場: 売主さんの区画を引き継げるか。車のサイズは収まるか
- 共用施設: 利用時間・予約方法・料金などに決まりがあるか
「利用できる」と聞くだけでなく、自分が予定している使い方ができるかまで、規約や細則と照らし合わせてみてください。
💴 管理費・修繕積立金と、滞納の情報
管理費と修繕積立金は、購入する住戸で毎月いくらかかるのでしょうか。
説明書では金額に加え、修繕積立金の積立状況や滞納などの情報も確認します。滞納は、売主さんの住戸に関するものと、マンション全体に関するものを分けて見てください。
| 確認する項目 | 質問したいこと |
|---|---|
| 管理費・修繕積立金の月額 | 聞いていた金額と同じか。いつ時点の金額か |
| 売主さんの住戸の滞納 | 決済までに誰が、どう支払うのか |
| マンション全体の滞納 | いくらあり、どのように対応しているのか |
| 修繕積立金の積立状況 | いつ時点の残高か。今後の修繕計画も確認できるか |
| 管理の委託先 | どこに管理を委託しているか |
現在の月額だけでなく、値上げや一時金の徴収が決まっていないかも気になりますよね。こうした内容は、総会議事録や長期修繕計画などの別資料も確認します。
毎月の支払い、今後決まっている負担、売主さんの滞納の処理を分けて確かめると、購入後に負担するお金を整理できます。
「毎月の金額は分かったけれど、今後の修繕には足りるのかな」と気になったら、こちらの記事で、金額の目安や将来の負担も見てみてください。
🔧 修繕履歴と、建物に関する資料
修繕の記録があるなら、いつ、何を直したのでしょうか。調査を受けているなら、どんな結果だったのかも知りたいですよね。
- 修繕履歴: いつ、どの部分を直したのか
- 建物状況調査: いつ、どこを調べ、どのような結果だったのか
- 指摘された不具合: 補修されたのか、まだ対応が残っているのか
重要事項説明では、法令で定められた期間内に実施された建物状況調査がある場合、その結果の概要が説明されます。また、建物の建築や維持保全に関する一定の書類については、保存されているかどうかも説明の対象です。
修繕履歴の詳しい内容や、調査で指摘された不具合への対応状況が気になる場合は、元の記録や報告書を見せてもらい、担当者に確認しましょう。
今後の工事や費用については、長期修繕計画や総会議事録などで追加確認します。
🌊 水害ハザードマップと、建物の備え
購入するマンションは、水害ハザードマップのどこにあるのでしょうか。重要事項説明では、水防法に基づくマップがある場合、その位置を示して説明してもらいます。
浸水が想定される場所に含まれていたら、自分の部屋の階数に加え、建物全体や周囲への影響も考えたいですよね。
- 建物内への浸水: 止水板などの対策があるか
- 電気やエレベーター: 電気設備はどこにあり、浸水にどう備えているか
- 避難や外出: 管理組合の防災資料や自治体の避難情報を確認できるか
これらの建物ごとの備えは、ハザードマップ上の所在地の説明とは別に確認する内容です。
マップで想定される水害を知り、建物の備えも確かめたうえで、もしものときに自分の暮らしへどのような影響があるかを考えてみてください。
💴 取引条件は、売買契約書と合わせて確認する
重要事項説明書は、物件や取引条件を知り、購入するか判断するための書類です。売買契約書には、売主さんと買主が合意する条件が書かれているので、説明で理解した内容と一致しているかを確かめてください。
📅 手付金・購入代金の支払いと、引渡し日
手付金はいくらで、いつ支払うのでしょうか。手付金を差し引いた残りの購入代金を支払う日や、鍵を受け取る日も、契約前にはっきりさせておきましょう。
| 確認する項目 | 確かめたいこと |
|---|---|
| 手付金 | 金額・支払日・支払方法 |
| 残りの購入代金 | 手付金を差し引いた金額・支払日・支払方法 |
| 精算金 | 固定資産税や管理費などを、いつから買主が負担するか |
| 引渡し | 日付・鍵を受け取る時期・売主さんの退去予定 |
引渡し当日に引っ越すなら、鍵を受け取る時間と、引っ越し業者が来る時間も合わせておきたいですね。
聞いていた金額や日程と契約書の記載を照らし合わせ、支払日までにお金を用意できるか、引っ越しの日程に無理がないかを確かめてください。
🏦 手付解除・違約金と、住宅ローン特約
「契約したあとに購入をやめたら、手付金はどうなる?」「ローンが承認されなかったら?」
どちらも契約を解除する話ですが、条件や支払うお金は同じではありません。
買主が手付金を放棄して解除する「手付解除」は、民法上、売主さんが「契約の履行に着手」する前まで認められるのが原則です。契約書に手付解除の期限が定められている場合もあるため、いつまで解除できるのかを確認してください。
売主さんが宅地建物取引業者の場合は、買主に不利な特約が制限されるため、契約書の期限だけで判断せず、担当者に適用される条件を説明してもらいましょう。
- 手付解除: どの条件で、いつまで解除できるか
- 違約金: 契約に違反した場合、どのような取り決めで、いくら支払うか
- 住宅ローン特約: 融資が受けられなかった場合、どの条件で解除できるか
住宅ローン特約は、予定した融資が受けられない場合の解除について定めるものです。「審査に落ちたら必ず使える」と考えず、今回の契約に書かれた条件を見てください。
| ローン特約で見るところ | 質問したいこと |
|---|---|
| 対象の融資 | どの金融機関から、いくら借りることを予定しているか |
| 期限 | 融資承認の期限と、解除に関する期限はいつか |
| 解除の手続き | 自動的に解除されるのか、期限内の通知が必要なのか |
| 支払ったお金 | 特約によって解除した場合、手付金などはどう返還されるか |
「どの場合に解除できて、そのときのお金はどうなるか」を、契約書の条項を見ながら説明してもらいましょう。
参考:不動産適正取引推進機構「不動産のQ&A|手付解除」/ 「不動産のQ&A|ローン特約」
🔧 契約不適合責任と、設備・不具合の取り決め
「住み始めてから水漏れに気づいたら、売主さんに直してもらえる?」「残してもらったエアコンが動かなかったら?」
こうした不具合は、すべて同じ条件で対応してもらえるわけではありません。
契約不適合責任とは、引き渡された物件が、種類や品質などについて契約で約束した内容に合っていない場合に、売主が負う責任です。売主が個人か宅地建物取引業者かによっても、認められる特約の範囲が異なります。
契約書では、次の内容を見てください。
- 責任の対象: どのような不具合について売主が責任を負うか
- 通知する期限: 不具合を見つけたら、いつまでに売主へ知らせる必要があるか
- 免責や特約: 売主が責任を負わないとされている部分があるか
- 設備の扱い: エアコンや給湯器などに、別の取り決めがあるか
室内の設備や、売主さんが把握している不具合は、付帯設備表や物件状況報告書などでも確認します。書類の名称は、不動産屋さんによって異なります。
エアコンを残すと書かれていても、不具合があったときに修理してもらえるかは別の話です。
残される設備、すでに分かっている不具合、引渡し後に売主さんへ対応を求められる範囲を、契約書と関連資料で確かめてください。
参考:不動産ジャパン「売買契約を結ぶ|売買契約の内容を確認する」
💬 説明を受けても、分からないことが残ったら
📄 売主さんとの約束が、書面にも書かれているか確かめる
「このエアコンは残してもらえる」「引渡しまでに、この不具合を直してもらえる」。そう聞いていた内容は、書類にも書かれているでしょうか。
説明では合っていても、契約書や設備表に記載がなければ、何を約束したのかをあとから確かめにくくなります。
例えば、修理してもらう話なら、次の点も見たいところです。
- 費用は誰が負担するのか
- どの箇所を直してもらうのか
- いつまでに直してもらうのか
売主さんと合意した内容が、契約書や設備表などに書かれているかを見て、抜けや違いがあれば、契約前に担当者へ伝えてください。
✍️ 確認が終わっていなければ、契約前に伝える
「契約の予定は今日。でも、まだ回答を待っていることがある。」
購入するかどうかに関わる質問なら、回答を待ってから判断したいですよね。
「床の張替えができるなら、この部屋を買いたい。」
そう考えているなら、回答を待ってから契約したいことを担当者に伝えます。
そのうえで、
- 誰に確認しているのか
- いつ回答をもらえるのか
- 回答を待つために、契約日程を調整できるか
重要事項説明を受けたこと自体で、売買契約を結ぶ義務が生じるわけではありません。また、重要事項説明書への買主の署名は、法律で一律に義務付けられているものではありません。
説明を受けたことの確認として署名を求められる場合もあるため、何について署名するのか、署名欄の記載を読んでから判断してください。
契約日が決まっていても、購入を判断するための確認が終わっていなければ、そのことを伝え、回答を確かめてから契約へ進むかを決めましょう。
✅ 契約へ進む前に、確かめた条件を自分の暮らしに当てはめてみる
「説明は分かった。この条件で、自分が思い描いていた暮らしはできそう?」
重要事項説明で新しく知った条件があれば、購入を決めた理由と照らし合わせてみてください。
床材に指定があっても、希望に近い仕上がりにできるなら納得できる。一方、車を手放せないのに駐車場を確保できないなら、ほかに借りられる場所があるかを調べてから決めたいですよね。
契約前には、次の点を振り返ってみてください。
- 希望している使い方ができるか
- 毎月の負担や支払いの日程に無理がないか
- 契約解除や不具合への対応について、取り決めを理解できたか
- 購入を決めるために、まだ回答を待ちたいことがないか
説明を聞いて分かった条件も含めて、「この部屋を買いたい」と思えるでしょうか。希望する暮らしや支払いに無理がないかを確かめ、納得したうえで売買契約へ進みましょう。
📚 次に知っておきたいこと
📑 「契約することに決めた。当日は何を用意すればいい?」
重要事項説明で気になっていたことを確かめ、この条件で購入しようと思えた。
そうすると、次は契約当日の準備ですね。
- 「印鑑や本人確認書類は、何を持っていけばいい?」
- 「契約のときと、鍵を受け取る決済のときでは、必要なものが違う?」
書類によっては取得に時間がかかるため、仕事の予定と合わせて、いつまでに何を用意するかを知っておきたいところです。契約・決済で必要な書類や持ち物を整理した、こちらの記事をご覧ください。

💴 「修繕積立金は毎月払える。でも、この金額で今後の工事は足りるの?」
説明書に書かれた月額を見て、毎月の支払いには無理がなさそうだと分かった。
それでも、将来値上げされたり、まとまったお金を求められたりするなら、その見込みも知ってから購入したいですよね。
修繕積立金が十分かを考えるには、現在の金額や残高に加え、これから予定されている工事と費用を見る必要があります。月額の目安や、購入前に見ておきたい将来の負担については、こちらの記事をご覧ください。

🏠 「契約条件には納得できた。それでも、この部屋で決めていいのかな?」
分からなかったことは担当者に聞いて、契約の内容にも納得できた。それでも、「本当にこの住戸を購入していいのかな」と迷う。
契約条件は分かっても、購入後のお金や、将来の住み替えまで考えると、まだ気になることはありませんか。
- 「購入後も、今の生活や趣味に使うお金を残せる?」
- 「仕事や暮らしが変わったら、売却や住み替えも考えられる?」
契約条件を理解することに加えて、予算や日々の暮らし、将来の選択肢にも納得できると、購入を決めた理由がはっきりします。書類の確認を終えても迷いが残るなら、お金・立地・物件選び・資産性から購入を考える、こちらの記事をご覧ください。

🌈 さいごに
「この部屋に住みたい。」その気持ちを、自分が納得できる選択に。
気になる条件を確かめたうえで、「この部屋を買いたい」と思えたなら、その判断を大事にしていいと思います。
契約の日を、「本当に大丈夫かな」から「ここで暮らすのが楽しみ」に変えていきたいですね。
最後の迷いも、聞かせてください。「この部屋を買いたい」と納得して決められるよう、一緒に考えましょう。

