「マンションが9,000万円で売れたら、手元にはいくら残る?」
自宅マンションの査定を受けて、売却価格の目安が見えてきた。
「この金額で売れるなら、次のマンションも考えられそう。」そう思えるようになると、売却したあとの暮らしが現実的になってきますよね。
でも、
もし9,000万円で売れたら、そのお金をそのまま次のお住まいに使えるのでしょうか。
- 「仲介手数料など、売却にはいくらかかる?」
- 「住宅ローンが残っているけれど、返したあとにいくら残る?」
- 「売却すると税金もかかる?その分も残しておいた方がいい?」
次の住まいを考えるなら、売れそうな金額と一緒に、売ったあとに自分が使えるお金も知っておきたいですよね。
そこで、
この記事では、マンションが9,000万円で売れたケースをもとに、仲介手数料などの売却費用、住宅ローンの返済、税金を順番に見ながら、自分の手元にいくら残るのかを一緒に考えていきましょう。
🎯 マンション売却の費用はいくら?

マンション売却の費用は、まず仲介手数料がいくらなのかを確認し、契約書の印紙税や、必要な登記・住宅ローン完済の手数料を加えて考えてみましょう。売却したあとに手元にいくら残るのかを考えるときは、売却価格からこれらの費用と残っている住宅ローンの返済額を差し引き、マンションを売却したときに税金の支払いが必要なのかも確認しておきましょう。
💰 マンションが9,000万円で売れたら、いくら残る?
ここでは、9,000万円で売れて、住宅ローンが5,000万円残っている場合を考えてみましょう。
売却費用は、次の条件で計算します。
- 仲介手数料は、税込みの上限額で計算する
- 紙の売買契約書を作成し、売主が1通分の印紙税を負担する
- 登記関連費用・ローン完済手数料などは、合わせて仮に5万円とする
9,000万円で売却した場合、仲介手数料の上限は、303万6,000円(税込)です。実際に支払う金額は、不動産屋との契約で確認します。
印紙税は、現行の軽減措置が適用される紙の契約書で、1通につき3万円。軽減措置の対象は、2027年3月31日までに作成する契約書です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売却価格 | 9,000万円 |
| 仲介手数料(税込み・上限額) | −303万6,000円 |
| 契約書の印紙税 | −3万円 |
| 登記関連費用・ローン完済手数料など(仮定) | −5万円 |
| 売却費用を差し引いた金額 | 8,688万4,000円 |
| 住宅ローンの返済額(仮定) | −5,000万円 |
| 費用とローン返済を差し引いて残るお金 | 3,688万4,000円 |
※登記関連費用などの5万円は計算用の仮定です。ローン返済時の利息、引っ越し費用、精算金や返金は含めていません。この表は売却全体の収支を示したもので、決済当日の入金額とは異なります。
この条件なら、費用を支払い、住宅ローンを返したあとに残るのは、3,688万4,000円です。
住宅ローンの返済は、借りていたお金を返すものなので、売却費用とは分けています。
では、
この3,688万4,000円を、全部使っていいのでしょうか。
ここには、マンションを売却したときにかかる可能性がある税金をまだ含めていません。支払いが必要なら、その分も残しておきたいですね。
自分の場合はいくら残るのか。まずは、売れそうな金額と、売却費用・住宅ローンの返済額を並べてみましょう。
🧾 マンション売却では、何にいくらかかる?
ここからは、それぞれの費用について、金額の決まり方と、自分の場合に確認したいことを見ていきましょう。
💰 仲介手数料はいくら?9,000万円で売れた場合の上限
仲介手数料は、売買契約が成立した際に、仲介を依頼した不動産屋へ支払う報酬です。
「9,000万円で売れたら、303万6,000円を必ず払う?」
先ほどの表で使った金額は、仲介手数料の上限額です。実際に支払う金額は、不動産屋との契約で確認します。
課税事業者である不動産屋に通常の売買仲介を依頼する場合、売買価格が400万円を超えると、次の式で税込みの上限額を計算できます。
(売買価格 × 3% + 6万円)× 1.1
※800万円以下の物件には別の特例があります。今回の9,000万円の売却では、この式で計算します。
9,000万円なら、
(9,000万円 × 3%+ 6万円)×1.1= 303万6,000円
です。
「+6万円」は、別に追加される手数料ではありません。本来は価格を区分して異なる料率を掛ける計算を、一つの式にまとめたものです。
不動産屋に売却を依頼するときは、いくら支払うのかと一緒に、いつ支払うのかも確認しておきましょう。
📝 売買契約書の印紙税はいくら?
紙の売買契約書を作成する場合は、契約書に記載する金額に応じた印紙税がかかります。
契約金額ごとの印紙税は、次のとおりです。
| 契約書に記載する金額 | 軽減措置適用後の印紙税・1通分 |
|---|---|
| 1,000万円超 ~ 5,000万円以下 | 1万円 |
| 5,000万円超 ~ 1億円以下 | 3万円 |
| 1億円超 ~ 5億円以下 | 6万円 |
この軽減措置は、2027年3月31日までに作成する対象の契約書に適用されます。9,000万円なら、売主が負担する1通分を3万円として計算します。
電子契約の電磁的記録自体には、印紙税はかかりません。別途、紙の課税文書を作成する場合は、その文書について確認が必要です。
自分の売却では紙の契約書を作るのか、電子契約なのか。契約方法が分かれば、必要な印紙税も確認できます。
🏦 抵当権抹消や住宅ローン完済には、どんな費用がかかる?
住宅ローンを全額返済するときは、残っている元金とは別に、金融機関の完済手数料や抵当権を抹消するための費用も確認しておきましょう。
住宅ローンを完済しても、登記されている抵当権は自動では消えません。抹消の登記を行い、司法書士に依頼する場合は、その報酬も支払います。
| 支払うもの | 金額の考え方 |
|---|---|
| 抵当権抹消の登録免許税 | 不動産1個につき1,000円。建物1個・土地1筆なら合計2,000円 |
| 司法書士への報酬・実費 | 依頼する司法書士の見積もりで確認 |
| 金融機関の完済手数料 | 利用中の金融機関の料金表や窓口で確認 |
マンションの敷地が複数の土地に分かれている場合などは、登録免許税が増えるため、対象となる不動産の数も確認します。
司法書士の見積もりでは、次の内訳を確認してみてください。
- 登録免許税はいくらか
- 司法書士への報酬・実費はいくらか
- 住所や氏名の変更など、追加の登記費用があるか
見積もりの合計に登録免許税が含まれていれば、別に足す必要はありません。
金融機関には、
「マンションを売却して住宅ローンを全額返済する場合、手数料はいくらですか?」
と聞いてみましょう。確認したいのは、次の3つです。
- 全額返済する場合の手数料
- 利用できる手続方法と、その金額
- 完済手数料以外に必要な費用
三菱UFJ銀行の対象住宅ローンでは、公式案内上の期限前完済手数料は次のとおりです。
| 手続方法 | 手数料(税込) |
|---|---|
| インターネット | 1万6,500円 |
| 店頭 | 3万3,000円 |
先ほどの例では、登記関連費用・ローン完済手数料などを合わせて仮に5万円としました。
自分の場合は「司法書士の見積もり総額+金融機関の完済手数料」で計算してみましょう。金融機関から別の手続費用も案内された場合は、その分も加えます。
参考:法務局|抵当権抹消手続の案内 / 法務局|マンションの抵当権抹消登記の記載例 / 三菱UFJ銀行|期限前完済申込
🧮 費用と住宅ローンを差し引けば、残ったお金は全部使える?
先ほどの3,688万4,000円を使う前に、マンションを売却したときに税金の支払いが必要なのかも確認しておきましょう。
税金は、手元に残る金額ではなく、「譲渡所得」をもとに考えます。まずは、その違いを見てみましょう。
💰 手元に残るお金と、税金を計算する利益は違う
譲渡所得は、基本的に次の式で計算します。
売却の収入金額 - 取得費 - 譲渡費用 = 譲渡所得
特別控除を使える場合は、譲渡所得から控除額を差し引きます。税金は、控除後の金額をもとに計算します。
言葉だけでは分かりにくいので、それぞれ何を指すのか見てみましょう。
| 項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 取得費 | 購入代金や購入時の仲介手数料など。建物部分は減価償却費相当額を差し引く |
| 譲渡費用 | 売却時の仲介手数料や、売主が負担した契約書の印紙税など、売るために直接かかった費用 |
| 住宅ローンの返済額 | 手元に残るお金の計算では差し引くが、譲渡所得の計算では差し引かない |
取得費を計算するときは、マンションの土地部分と建物部分を分け、建物部分の購入代金などから、所有期間中の減価償却費相当額を差し引きます。
また、
売却に伴って支払ったものが、すべて税務上の譲渡費用になるわけではありません。例えば、修繕費や固定資産税など、維持・管理のための支出は譲渡費用に含まれません。
つまり、
「ローンを返したらあまり残らないから、税金もかからない」とは判断できません。先ほどの3,688万4,000円は、費用とローン返済を差し引いて残るお金です。税金を確認するには、購入時の契約書や、購入・売却時に支払った費用の資料も確認しておきましょう。
🏠 自宅を売った場合でも、税金の支払いは必ず必要?
譲渡所得が出なければ、その譲渡所得に対する税金はかかりません。
譲渡所得が出ても、適用できる特例によって税額がゼロになる場合もあります。
代表的なのが、自宅の売却で一定の要件を満たすと使える、3,000万円特別控除です。譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける制度ですが、自宅なら必ず使えるわけではありません。適用には確定申告も必要です。
自分の場合に確認したいのは、次のことです。
- 取得費と譲渡費用を差し引くと、譲渡所得はいくらになるか
- いつ取得したマンションなのか
- 自宅として使っていた状況や過去の特例利用から、特別控除などを使えるか
所有期間によって税率も異なります。判定するのは、売った日までの居住年数ではなく、売却した年の1月1日時点の所有期間です。
次のマンションを購入する場合は、3,000万円特別控除と住宅ローン控除との適用関係も確認しておきましょう。
購入時の資料をそろえ、必要に応じて税務署や税理士に税金の見込みを確認しておきましょう。支払いが必要なら、その分を残して、次の住まいに使えるお金について考えてみてください。
参考:国税庁|譲渡所得の計算 / 国税庁|建物の取得費 / 国税庁|譲渡費用 / 国税庁|マイホームを売ったときの特例
📋 自分のマンションを売ったあと、いくら使えるか確認しよう
「自分のマンションなら、売ったあとにいくら残る?」
査定で売れそうな金額が分かったら、費用と住宅ローンの返済額も確認してみましょう。
| 確認するもの | 確認先 |
|---|---|
| 仲介手数料・印紙税 | 売却を相談している不動産屋 |
| 登記関連費用 | 手続きを依頼する司法書士 |
| 住宅ローンの返済額・完済手数料 | 住宅ローンを借りている金融機関 |
| 売却したときにかかる税金 | 購入時の資料を用意して、税務署や税理士 |
不動産屋には、
「9,000万円で売れた場合、売却費用はいくらかかりますか?」
と聞いてみてください。費用の見積もりをもらったら、先ほどの表に自分の金額を入れてみましょう。
住宅ローンを借りている金融機関には、次の金額を確認しておきましょう。
- 売却に合わせて完済する日の、住宅ローンの残高
- 完済日までの利息
- 全額返済するための手数料など
税金の支払いが必要なら、その分も残しておきます。
そして、
売ったあとに残る金額が分かっても、その全部を次のマンションの購入代金に使えるとは限りません。
- 次のマンションの購入にかかる初期費用
- 引っ越し代や、買い替える家具・家電のお金
- 住み替えたあとも、預貯金として残しておきたい金額
「売ったあとにいくら残るか」と「そのうち、次のマンションにいくら使うか」。自分が残しておきたいお金も考えながら、次の住まいの予算を決めてみましょう。
📚 次に知っておきたいこと
「そもそも、いくらで売れると考えておけばいい?」
売却費用や住宅ローンを差し引いて計算しても、想定した価格で売れなければ、残るお金も違ってきます。
査定額をもとに次の住まいを考えるなら、不動産屋に「なぜ、この金額なのか」も聞いておきたいですね。
同じマンションの成約事例や、今売り出されている住戸とどう比較しているのか。査定の根拠を確認するには、こちらの記事をご覧ください。

「次のマンションを買うときは、物件価格以外にいくら必要?」
売ったあとに残る金額が分かると、次のマンションの価格も気になってきますよね。
購入するときにも、仲介手数料や登記費用、住宅ローンに関する費用などが必要です。
- 「購入費用のために、いくら残しておけばいい?」
- 「契約から入居まで、いつお金が必要になる?」
次の住まいに使う予算を考えるときは、物件価格と一緒に、購入にかかる費用も見ておきましょう。こちらの記事をご覧ください。

「残るお金の目安は分かった。売却は何から始めればいい?」
次の住まいに使えそうな金額が見えてきたら、売却を進めるか、もう少し今の家に住むかを考えたいところです。
- 「次のマンションが見つかってから売る?」
- 「先に売却の相談をしておく?」
仕事を続けながら住み替えるなら、売却だけでなく、次の住まいを探す予定も気になりますよね。
売却を考え始めた段階で何を確認し、どう進めていくかは、こちらの記事をご覧ください。

🌈 さいごに
次のマンションに住んだら、今の暮らしの何を変えたいですか。
通勤時間を短くして、平日の夜にもう少し自分の時間がほしい。
仕事用の部屋をつくって、休日はリビングでゆっくりしたい。
マンションを売ったお金で、そんな希望をかなえられたらうれしいですよね。
「このマンションを買っても、旅行や趣味を楽しむお金は残せる?」
気になるマンションが見つかったら、そこまで考えてみてください。せっかく住み替えるなら、新しい家での暮らしも、自分の好きなことも楽しみたいですよね。

