「買ったときより2,000万円高く売れそう。その分、税金もかかる?」
自宅マンションの査定を受けて、購入したときより高く売れそうだと分かった。
「この金額で売れるなら、売却を考えてもいいかも。」
でも、
買ったときより高く売れるとなると、税金のことも気になってきますよね。
- 「税金を払うとしたら、いくらになる?」
- 「3,000万円特別控除を使えば、払わなくていい?」
- 「購入してから5年経っているけれど、税率はどうなる?」
高く売れそうなのはうれしいけれど、売却を考えるなら、税金をいくら払うことになるのかも知っておきたいですよね。
そこで、
この記事では、マンションを9,000万円で売却するケースをもとに、税金はいくらかかるのか、自分の場合に当てはめながら一緒に考えていきましょう。
🎯 マンション売却の税金はいくら?

マンション売却による利益にかかる税金は、売却価格と購入価格の差額だけで決まるのではなく、購入・売却にかかった費用や建物の減価償却を反映した「譲渡所得」をもとに計算します。所有期間や3,000万円特別控除を使えるかによって税額は変わり、買ったときより高く売れても、利益にかかる税金がゼロになる場合もあります。
💰 マンションを売却すると、どんな税金がかかる?
マンション売却の税金を調べると、「所得税」「住民税」「印紙税」など、いくつもの名前が出てきます。
それぞれ、何に対してかかる税金なのでしょうか。
まずは、売却による利益にかかる税金と、契約書や登記にかかる税金に分けて見ていきましょう。
💵 売却による利益にかかる所得税・住民税・復興特別所得税
2026年にマンションを売却する場合、売却による利益にかかる税金は、次の3つです。
| 税金の種類 | 何に対してかかる? |
|---|---|
| 所得税 | 特別控除などを適用したあとの課税譲渡所得にかかる国の税金 |
| 住民税 | 課税譲渡所得にかかる地方の税金 |
| 復興特別所得税 | 基準所得税額に2.1%を掛けて計算する国の税金 |
不動産の売却では、これらをまとめて「譲渡所得税」と呼ぶことがあります。
税金がかかるのは、マンションを売って受け取るお金の全額ではなく、売却によって得た利益です。
マンション売却の譲渡所得は、給与所得などとは分けて税額を計算する「分離課税」です。売却による利益をそのまま年収に足して、給与と同じ税率で計算する仕組みではありません。
📄 利益にかかる税金と、契約書・登記にかかる税金は別
売却による利益とは別に、契約書の作成や登記にも税金がかかります。
| 税金の種類 | 売却時にかかる主な場面 |
|---|---|
| 印紙税 | 紙の不動産売買契約書を作成するとき |
| 登録免許税 | 住宅ローンの完済に伴い、抵当権の抹消登記をするとき |
これらは、売却による利益に応じてかかる税金ではありません。
そのため、
3,000万円特別控除で利益にかかる税金がゼロになっても、契約書や登記にかかる税金までゼロになるわけではありません。
🧮 マンション売却の譲渡所得はどう計算する?
📊 売却収入から取得費と譲渡費用を差し引く
税金の計算に使う利益を「譲渡所得」といいます。
譲渡所得 = 売却収入 −(取得費 + 譲渡費用)
| 項目 | 計算に使う金額 |
|---|---|
| 売却収入 | 売却代金など、売却によって受け取る金額 |
| 取得費 | 購入代金に購入時の費用などを加え、建物の減価償却分を差し引いた金額 |
| 譲渡費用 | 仲介手数料など、売却のために直接かかった費用 |
売却収入には、売却代金のほか、買主から受け取る固定資産税・都市計画税の精算金も含まれます。契約書の売買価格と一緒に、引渡し時の精算書も確認してください。
🏠 取得費は、購入価格をそのまま使うわけではない
マンションを購入したときには、代金のほかにも、仲介手数料や登記費用などを払っていますよね。
自宅として使っていたマンションでは、購入時の仲介手数料、売買契約書の印紙税、所有権の登記費用、不動産取得税なども取得費に含められます。
一方で、
建物部分は、購入時の金額をそのまま取得費にはできません。
土地と建物では、次のように計算が異なります。
| 購入額の内訳 | 取得費の計算 |
|---|---|
| 土地部分 | 購入代金に、土地に対応する購入時の費用などを加える |
| 建物部分 | 購入代金に、建物に対応する購入時の費用などを加え、減価償却費相当額を差し引く |
税金の計算では、建物は年月とともに価値が減ると考えます。そのため、建物の購入代金などから、所有していた期間に応じて計算した金額を差し引きます。これが「減価償却費相当額」です。
取得費を求めるには、購入価格に購入時の費用を加え、建物の減価償却分を差し引く必要があります。
💰 譲渡費用に含められるもの / 含められないもの
売却時に支払ったお金も、すべてを譲渡所得から差し引けるわけではありません。
譲渡費用になるのは、マンションを売るために直接かかった費用です。
| 支出の内容 | 譲渡費用としての扱い |
|---|---|
| 売却時の仲介手数料 | 含められる |
| 売買契約書の印紙税のうち、売主が負担したもの | 含められる |
| 管理費や、維持管理のための修繕費・固定資産税 | 含められない |
| 住宅ローンの元本返済額 | 含められない |
住んでいる間に払った修繕費や、毎年かかる固定資産税は、マンションを売却するために支払ったお金ではないので、譲渡費用には含められません。
📄 購入時の契約書が見つからない場合は?
契約書が見つからないときは、次の方法で購入金額を確認できないか調べてみてください。
- 銀行の振込記録を確認する
- 購入を仲介した不動産屋に、契約書の控えがあるか聞く
購入金額が分からず、取得費を計算できない場合や、実際の取得費が売却収入の5%を下回る場合には、売却収入の5%を取得費として差し引く方法があります。これを「概算取得費」といいます。
実際に購入した金額がわかれば、売却収入の5%を取得費とするより、税金を抑えられる可能性もあります。
契約書が見つからないときは、売却収入の5%で計算する前に、銀行の振込記録や不動産屋に残っている資料で、購入金額や当時の費用を確認してみてはいかがでしょうか。
🏠 3,000万円特別控除を使うと、税金はかからない?
3,000万円特別控除とは?
3,000万円特別控除は、自宅を売却して利益が出たときの税負担を軽くする制度です。まずは、税金がどう変わるのか、自分のマンションでも使えるのかを見ていきましょう。
💰 売却価格ではなく、譲渡所得から最高3,000万円を差し引く
自宅マンションを売却する場合、一定の条件を満たすと、譲渡所得から最高3,000万円を差し引けます。これが「3,000万円特別控除」です。
差し引くのは、売却価格からではなく、取得費と譲渡費用を差し引いて求めた譲渡所得からです。
控除後に税金の計算対象となる金額を、「課税譲渡所得」といいます。
| 譲渡所得の金額 | 特別控除を使ったあとの課税譲渡所得 |
|---|---|
| 3,000万円以下 | 全額を控除できるため、ゼロ |
| 3,000万円超 | 3,000万円を差し引いた金額が残る |
※3,000万円特別控除の適用条件を満たす場合。
3,000万円特別控除を使える場合、譲渡所得が3,000万円以下なら、売却による利益にかかる税金はゼロになります。 譲渡所得が3,000万円を超える場合は、3,000万円を差し引いた残りの金額に税率を掛けて計算します。
📋 自分のマンションで使えるか、何を確認する?
3,000万円特別控除を使えるか、住んでいた時期や売却相手、過去の特例利用を確認します。
| 確認すること | 主な条件 |
|---|---|
| 自分が住んでいたマンションか | 現在の自宅、または以前住んでいた自宅が対象。複数の自宅がある場合は、主に住んでいたもの |
| 引っ越したあと、いつ売るか | 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る |
| 誰に売るか | 親子・夫婦など、特別な関係がある相手への売却は対象外 |
| 過去に特例を使っていないか | 前年・前々年に、3,000万円特別控除やマイホームの譲渡損失の特例を使っていると、原則として今回は使えない |
| ほかの特例を使っていないか | 売却年・前年・前々年にマイホームの買換え・交換の特例を使っていると、今回は使えない。同じ物件に使うほかの特例にも、併用できないものがある |
引っ越したあとに売却する場合は、売却期限にも注意が必要です。
例えば、2023年中に引っ越した自宅なら、原則として2026年12月31日までに売却します。現在も住んでいる自宅には、この「引っ越したあとの期限」は関係ありません。
また、次の違いも押さえておきましょう。
- 一度も自分が住んでいない投資用マンション: 対象になりません。
- 控除を使うためだけに一時的に入居した住まい: 対象になりません。
- 所有期間が5年以下の自宅: 条件を満たせば使えます。
※主な適用条件をまとめています。詳しくは、国税庁「マイホームを売ったときの特例」をご覧ください。
条件を満たしていても、控除は自動では適用されません。税額がゼロになる場合も、この特例を使うには確定申告が必要です。
確定申告は、原則として売却した翌年の2月16日から3月15日までに行います。2026年に売却した場合は、2027年に申告します。
🔑 住み替える場合は、新居の住宅ローン控除との関係も確認する
今のマンションを売って、次の住まいを住宅ローンで買う場合は、3,000万円特別控除を使うと、新居の住宅ローン控除を受けられなくなる場合もあります。
確認したいのは、新居に入居する年と、3,000万円特別控除を使う年です。
| 3,000万円特別控除を使う年 | 新居の住宅ローン控除 |
|---|---|
| 新居に入居した年・その前年・前々年 | 受けられない |
| 新居に入居した翌年から3年目まで | この期間に旧居を売って3,000万円特別控除を使うと、原則として受けられない |
住み替えるなら、新居で住宅ローン控除を使えるか確認したうえで、3,000万円特別控除で減らせる税金と、住宅ローン控除で減らせる税金の総額を比べてみてください。
📅 マンションの所有期間で、税率はどう変わる?
売却による利益にかかる税率は、マンションを所有していた期間によって変わります。
まずは、所有期間をいつの時点で判断するのか、確認していきましょう。
🗓️ 所有期間は、売却する年の1月1日で判断する
マンション売却の税金では、売却する年の1月1日時点で、所有期間が5年を超えているかを確認します。
| 売却する年の1月1日時点の所有期間 | 税金上の区分 |
|---|---|
| 5年以下 | 短期譲渡所得 |
| 5年超 | 長期譲渡所得 |
たとえば、
2021年4月に購入したマンションを、2026年5月に売却するとします。購入から売却までは5年を超えていますが、2026年1月1日時点では、まだ5年経っていません。そのため、短期譲渡所得になります。
同じマンションを2027年に売却する場合は、2027年1月1日時点で5年を超えているので、長期譲渡所得になります。
売却する日に5年を超えていても、長期譲渡所得になるとは限りません。購入した日と、売却する年の1月1日を比べて確認してください。
💵 2026年の税率は、短期39.63%・長期20.315%
2026年に売却する場合、通常の税率は次のとおりです。
| 区分 | 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
※復興特別所得税は、所得税額の2.1%です。表では、課税譲渡所得に対する割合に換算しています。
税金がかかる金額が同じでも、短期は39.63%、長期は20.315%と税率が違うため、払う税金は大きく変わります。
🏠 10年を超えて所有している自宅は、軽減税率も確認する
自宅を長く所有している場合は、通常より低い税率で計算できる「軽減税率の特例」もあります。
- 所有期間: 売却する年の1月1日時点で、土地・建物ともに10年超であること。
- 3,000万円特別控除との併用: 併せて使えます。
軽減税率が適用される場合、課税長期譲渡所得にかかる税率は次のとおりです。
| 課税長期譲渡所得 | 軽減税率(合計) |
|---|---|
| 6,000万円以下の部分 | 14.21% |
| 6,000万円を超える部分 | 20.315% |
※所得税・復興特別所得税・住民税の合計。所有期間以外にも適用条件があり、特例を受けるには確定申告が必要です。
3,000万円特別控除を使っても税金がかかる場合は、軽減税率でさらに税金を減らせるか確認してみてください。
🔢 7,000万円で買ったマンションを9,000万円で売ると、税金はいくら?
ここまでの計算を、実際の数字に当てはめてみましょう。
7,000万円で買った自宅マンションが、9,000万円で売れたら、税金はいくらかかるのでしょうか。
🏠 今回の計算に使う条件
| 項目 | 今回の条件 |
|---|---|
| 購入・売却時期 | 2016年4月に購入、2026年5月に売却 |
| 購入価格 | 7,000万円(土地4,000万円・建物3,000万円) |
| 購入時の費用 | 取得費に含められる費用200万円(土地分100万円・建物分100万円) |
| 売却価格 | 9,000万円 |
| 売却時の費用 | 譲渡費用に含められる費用300万円 |
| 建物の構造・使い方 | 鉄筋コンクリート造。購入後は自宅として使用 |
※購入時の費用200万円は、土地と建物に100万円ずつ分けて計算します。固定資産税・都市計画税の精算金は含めていません。
ここでは、長期譲渡所得の税率20.315%を使います。
2026年1月1日時点で、購入から5年を超えていますが、まだ10年は経っていません。そのため、10年超の自宅に使える軽減税率の対象にはなりません。
📉 購入時にかかった金額から、建物の減価償却分を差し引く
取得費は、次の2つの計算で求めます。
① 購入価格に、購入時の費用を加える
7,000万円 + 200万円 = 7,200万円
② 建物の減価償却分を差し引く
建物の購入代金3,000万円に、建物分の購入時費用100万円を加えると、3,100万円です。
自宅として使っていた鉄筋コンクリート造では、この金額に「0.9」「償却率0.015」「経過年数」を掛けます。
| 計算に使うもの | 今回の数字 |
|---|---|
| 建物の購入代金+建物分の購入時費用 | 3,100万円 |
| 計算上の係数 | 0.9 |
| 鉄筋コンクリート造の償却率 | 0.015 |
| 経過年数 | 10年 |
3,100万円 × 0.9 × 0.015 × 10年
= 418万5,000円
※2016年4月から2026年5月までは約10年1か月。減価償却の計算では、6か月未満の端数を切り捨てるため、10年で計算します。
この418万5,000円を、最初に求めた7,200万円から差し引きます。
7,200万円 − 418万5,000円
= 6,781万5,000円
売却収入から差し引く取得費は、6,781万5,000円です。
📊 売却収入から取得費・譲渡費用を差し引く
売却収入9,000万円から、先ほど求めた取得費と、売却にかかった費用300万円を差し引きます。
9,000万円 −(6,781万5,000円 + 300万円)
= 1,918万5,000円
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売却収入 | 9,000万円 |
| 差し引く取得費 | 6,781万5,000円 |
| 差し引く譲渡費用 | 300万円 |
| 譲渡所得 | 1,918万5,000円 |
購入価格より2,000万円高く売れても、税金の計算に使う利益は1,918万5,000円です。
ここから、3,000万円特別控除を使うとどうなるかを見ていきましょう。
💰 3,000万円特別控除を使える場合と、使わない場合
今回の譲渡所得は、3,000万円以下です。特別控除の条件を満たして申告すれば、全額を差し引けるため、課税譲渡所得はゼロになります。
控除を使わない場合は、1,918万5,000円に長期譲渡所得の税率20.315%を掛けます。
1,918万5,000円 × 20.315% = 約390万円
| 3,000万円特別控除 | 売却による利益にかかる税金 |
|---|---|
| 使える条件を満たし、申告する場合 | 0円 |
| 使わない場合 | 約390万円 |
※税額は所得税・住民税・復興特別所得税の合計の目安です。印紙税や登録免許税は別です。
今回の条件では、3,000万円特別控除を使えば利益にかかる税金はゼロ、使わなければ約390万円です。自分の場合も、まず譲渡所得を計算し、控除を使えるか確認してみてください。
税金がかかる場合は、所得税と住民税で納める時期が異なります。
- 所得税・復興特別所得税: 原則として翌年3月15日まで
- 住民税: 翌年6月以降
住民税はあとから支払うため、所得税だけでなく、住民税の支払いも予定に入れておきましょう。
📚 次に知っておきたいこと
💰「税金や費用を払って、住宅ローンも返したら、いくら残る?」
税金の目安が分かったら、売却後に自分が使えるお金も確認したいですよね。
売却代金からは、税金のほかに仲介手数料などの費用もかかります。住宅ローンが残っていれば、その返済も必要です。
次の住まいに使える金額を知るには、これらを差し引いた手元に残るお金まで計算しておきたいところです。
売却費用と住宅ローンの返済を含めた計算は、こちらの記事をご覧ください。

📊「査定額で税金を計算してみたけれど、本当にこの金額で売れる?」
売却前に税金を見積もるときは、査定額を使って計算する方もいらっしゃると思います。
でも、査定額は、その金額で売れると決まった価格ではありません。
- 「どの成約事例をもとにした査定なのか?」
- 「今売り出されている住戸と、どう比べているのか?」
売却価格が変われば、税額や手元に残るお金も変わります。計算のもとにする査定額の根拠も、確認しておきましょう。
不動産屋が何を見て査定額を出しているのかは、こちらの記事をご覧ください。

🧭「税金のことは分かった。でも、今売るかはまだ迷っている」
税金を確認したからといって、すぐに売ると決める必要はありません。
売ったあとにどこで暮らしたいのか、住み替えたい時期はいつなのか。お金の見通しと、自分のこれからの暮らしを一緒に考えてみてください。
今売る、しばらく住み続けるなど、自分にはどんな選択肢があるのかを整理したいときは、こちらの記事をご覧ください。

🌈 さいごに
売却を考えるとき、税金の見通しがつくと、その先の予定も考えやすくなりますよね。
私は、売れそうな金額だけでなく、税金がいくらかかるのかも分かったうえで、売却を進めていただきたいと思っています。
この記事が、ご自身のマンションにかかる税金を知り、安心して売却を考えるきっかけになればうれしいです。
勝どき・晴海・月島などの湾岸エリアで、売却価格の目安や進め方が気になったら、お気軽にご相談ください。
まだ売ると決めていなくても大丈夫です。
今のお住まいや、これからのご希望を伺いながら、一緒に考えていきましょう。

